2021/08/20 投稿

総合型選抜(AO入試)は勉強しない受験方法なのか?

「AO入試なんて勉強じゃない」
「最近の若者はAO入試で勉強しなくても大学に行ける」
「AOなんて訳の分からない受験だ」

私が、総合型選抜、AO入試の話をするとよくこんな言葉が返ってきます。
これらの言葉の主は、決まって40代以上の人達です。
しかも男性がほとんどです。
近年では、大学合格者全体の半数以上を超えているという傾向がある中で、受験生の親御さんの中にも同じような思いを抱いている方が少なくないように感じます。

また、「AO入試なんて受けるのを止めた方がいい、止めなさい」と言われたという受験生も少なくありません。
しかも、こちらの言葉の主は、ほとんどが学校の先生というのですから驚く、いやちょっと呆れてしまいます。

では、一体なぜこのように言われてしまうのでしょうか?
本当に総合型選抜、AO入試は訳の分からない、勉強ではない受験方法なのでしょうか?
その背景と実状について考えてみましょう。

まず小論文やプレゼン、面接の基本に則って結論から申し上げますと、総合型選抜、AO入試は決して訳の分からない、勉強しない受験方法ではありません
合格するためには様々な要素に対して努力を積み重ね、必要な知識やスキルを習得する取り組みに他なりません。
それは、立派な勉強と呼べるものです。

これに対して「あんなの勉強じゃない!」という40代以上の人達は、自分達の時代の受験勉強とは違うという理由から勉強と認めないという心理に繋がっているようです。
特に、昭和の終わりから平成に初めにかけて受験者数が急増し、5倍、10倍、15倍という高倍率を突破しないと大学に入れなかった時代には、単語や熟語や活用形、年号や人名等を必死で暗記し、偏差値を上げるために寝る間を惜しんで勉強に明け暮れていたことでしょう。
そういう自分達が味わった苦しみがAO入試には無いということから「あんなの勉強じゃない」という言葉に結びついているように思えます。

しかし、小論文に必要な自分の考えを導き出す思考力、根拠を順序立てて述べる論理力、あるいはプレゼンや面接で必要な具体的且つ簡潔に分かりやすく伝える力を身につけることは、立派な勉強です。
また、自己アピールに繋げるために、高校生活においてボランティアや生徒会活動に積極的に参加し、チームワークや協調性、人とのコミュニケーション力を身につけることも立派な勉強と言えます。
そして、これらの力は社会に出てから自律した活動をするために非常に重要な要素になってきます。

私は、AO入試指導と同時に社会人に対する企業研修の講師も行っていますが、立派な学歴を持ち、豊富な知識を持っているにもかかわらず、物事を相手に分かりやすく伝えることが苦手、人とのコミュニケーションが苦手という理由で伸び悩んでいる社会人を多く見かけます。
確かに、総合型選抜、AO入試の勉強は教科書や参考書に線を引っ張って、問題集を繰り返し解くような勉強ではありません。
しかし、社会で立派に生き抜くために大切なことを勉強する取り組みに他ならないのです。
したがって、正確な表現をするならば、「昔とは勉強の種類が違う」と言うべきであって、「あんなの勉強じゃない」というのは誤りです。

 

また「AOなんて訳が分からないから止めた方がいい」という言葉についても考えてみましょう。

これは、合否を分ける採点基準がはっきりしないという理由が背景にあると考えられます。
一般入試の科目試験は解答がしっかり用意されており、〇正解か×不正解かがはっきりとしています。
〇は加点され、×は減点されて合計点が一目で分かります。
それに対して、志望理由書、小論文、プレゼン発表、面接には、明確な解答集など存在せず、加点ポイントと減点要素がはっきりとは掴めません。
合格者は何点で合格できて、不合格者はどこが減点されて受からなかったのかが最後まで分かりません。
そのことが「AOなんて訳が分からない」という言葉に繋がっているようです。

しかし、志望理由書も小論文もプレゼン発表も面接もなぜその課題を問われているのか、何をどのように伝えることが必要なのかを具体的に紐解いていけば、そこには明らかな正解が存在するのです。
これは先ほど述べた「社会で必要とされる人に物事を伝える力」の基本を考えれば、決して難しいことではないのです。
したがって「AOなんて訳が分からないから止めた方がいい」と言う大人たちは、「人に物事を伝えること」の基本がよく分かっていないと言っているようなものなのです。
ましてや学校の先生がそれを言っているという現実を知ると、ゾッとしてしまいます。

以上のことからまとめますと、総合型選抜、AO入試は社会に出た後にこそ役立つ立派な勉強であり、正解が存在する訳の分かる受験方法です。
正しい知識と取り組み方を習得し、本番でその実力が発揮できれば十分に合格することができるのです。
実際に、当塾の合格者からは「AO受験での取り組みは、大学生活や社会人となった後に大いに役立っています」という言葉が数多く聞かれています。